
アトピー性皮膚炎
薬剤については、保湿剤は、使用します。必要に応じて、ステロイド外用薬、プロトピック、非ステロイド外用薬なども使用します。この場合、ステロイド外用薬、プロトピックなどの特定の薬剤使用に関しては、ご本人の意思(使うか使わないか)を優先いたします。重症の場合、シクロスポリンの使用も考慮いたします(増悪時に使用)。これらの治療は、アトピー性皮膚炎に対する現時点における標準的治療に記載されている方法です。アトピー性皮膚炎は、アレルギー機序を基礎として生じますが、皮膚炎が持続することによって、皮膚のバリア機能が低下して、皮膚におけるさまざまな細菌感染、ウイルス感染(これらを二次感染といいます)を起こしやすいという特徴があります。そのため、(1)アレルギーが起きないような体質にすること、(2)皮膚のバリア機能を回復させること、(3)さまざまな感染症対策、などが治療の柱となります。
アトピー性皮膚炎は、特に、アレルギー機序による皮膚炎+慢性乳頭腫ウイルス(HPV)感染症 が、症状の中核です。(皮膚に感染するHPVの型は、HPV1,5,8,14,20,21,25,47です。)小児期は、前者の比重が圧倒的に大です。しかし、成長とともに、後者の比重が大きくなっていきます。また、長年にわたってステロイド軟こうを多用した方も、後者の比重が大となり、全身の皮膚がHPVだらけというケースもしばしばみられます。
アトピー性皮膚炎があると、小児の場合、水いぼが広がりやすくなります。皮膚のバリア機能が低下しているためと考えられます。健常の小児に比較して、小さな水いぼがより多数認められます。水いぼは、冷凍凝固により、丹念に除去いたします。Dr.ウオーターも抗ウイルス作用があるため、スキンケアに用いると効果的です。また、イオウ入り保湿剤が、水いぼに大変有効です。イオウ入り保湿剤は痛みがない点が長所です。かさかさした皮膚(乾燥性皮膚炎と一般にいわれています)も、軽症のアトピー性皮膚炎である場合も少なくありません。この場合も水いぼは、多発しやすくなります。
アトピー性皮膚炎の方の皮膚には、通常のいぼ(=「尋常性疣贅(ゆうぜい)」といいます)の合併感染(HPV感染の典型的な形)も、ときどき認められます。(尋常性疣贅に関連するHPVの型は、HPV2,27,57が多い)。冷凍凝固など、その部位、形に応じて治療を行います。
ヘルペスも全身に広がって重症化しやすくなります(カポジ水痘様発疹症)。この場合には、抗ヘルペスウイルス薬の点滴投与か経口投与が必要になります。
細菌も入りやすくこのためとびひ(伝染性膿痂疹)も生じやくすなります。膿痂疹の場合、顔などの皮膚の赤みが顕著に目立つようになることも少なくありません。
これらの際は、抗ウイルス薬や抗生物質を適時・適切に使用して、合併感染を鎮めることを第一に行います。爪はいつも短く切っておく必要があります。
ニキビダニ(顔ダニ)に対して、アレルギーを生じて顔が発赤している場合もあります。この対策も必要に応じて行います。イオウ入り保湿剤も有効です。
成人になるにつれ、多くの方は、膝の裏やひじなどに皮疹が限局していきます。しかし、成人でも、なお、全身にアトピー性皮膚炎の症状が認められる方もいらっしゃいます。喫煙している方は、必ず禁煙することが大切です。喫煙は、アトピー性皮膚炎の増悪因子です。また、歯石がたまっている場合は、歯石除去が必要です。歯周病もアトピー性皮膚炎の増悪因子となります。喫煙は、歯周病も悪化させます。
ご理解を得られる方には、「アレルギー疾患」の項目にも記載した方法で、体質改善を図っていきます。特異的IgE抗体を測定してみると、ハウスダストやスギ花粉の他、複数の抗原を認識していることが少なくありません。多い方ですと、同時測定した33個の特異抗体のうち、20個以上もの特異抗体が陽性となる方もおられます。非特異的IgEが1,000を超える方は、重症であることが多く、体質改善に、より多くの時間がかかります。
アトピー性皮膚炎の場合、顔の赤みを最も苦痛に感じて、思いつめるように当院を探しておいでになられる方も少なくありません。当院の「体質改善」により、顔の赤みが消えていくとともに、晴々とした表情に変わっていかれることが大変印象的です。顔の赤みは、単なる顔の炎症にとどまらず、心理的にも強いマイナスの影響を与えていたことがわかります。前髪を額に垂らすことは、アトピー性皮膚炎の悪化要因の一つとなります。それでも、赤い顔を少しでも隠そうとして、前髪を垂らしている方も多くおられます。顔の赤みが消失すると、前髪をあげることができるようになります。
体質改善療法における皮膚反応について
体質改善を行っている最中に、顔の赤みや全身の赤みが一時的に強く現れてしまう方がいらっしゃいます(=皮膚反応)。これは、皮膚の中に様々なウイルス感染(特に乳頭腫ウイルス HPV)、ダニなどの寄生がある状態において、ワクチンを接種すると、これらの病原体を排除しようとする細胞性免疫力が強くなるため、一時的に皮膚の赤みが強くなってしまうと考えられます。ジクジクしてくる場合も、汁がでてくる場合もあります。眠れなくなることもあります。あらかじめ、このような現象が一時的に現れることがあることを十分覚悟しておかないと、パニックになられたり、心理的に不安定になられる場合もあります。びっくりして、治療を中断されることもあります。このような現象があるため、御家族の十分なご理解としっかりした心理的サポートも大変重要なものとなります。
反応が、過剰に現れた場合には、一時的にステロイド薬を使用して、炎症を鎮めることもあります。睡眠導入薬を使用することもあります。他のアレルギー疾患に対する体質改善を行っている過程では、見られない現象(一時的増悪)です。
この時期を過ぎると、肌は、正常の皮膚に向かっていきます。精神状態も落ち着いてきます。
このような強い皮膚反応が生ずることがあるため、受験期, 海外旅行、結婚式などの重要なイベントを3カ月以内に控えている、など、人生にとって重要な時期は、この体質改善を受けることは、避けることが望ましいです。学生の場合、一時的に、学校を休む必要がでてくることもあります。また、お仕事をされている方は、一時的に休職する必要がある場合もあります。
この現象は、長年にわたって、ゴミがたまっていくのを放置していたゴミ屋敷を、発奮して大掃除を開始することに例えられます。ゴミは、乳頭腫ウイルスなどの皮膚内の大量の病原体です。ワクチンによって活性化した細胞性免疫系によるウイルスに対する攻撃が始まるため、一見すると悪化したように見えますが、あくまでも「大掃除」です。大きな手術を受けることに似ています。あるいは、産みの苦しみにも例えられます。脱皮といってもよいかもしれません。あるいは、早春に枯野に潜む害虫の卵を焼き尽くす「野焼き」にも例えられます。
この時期をすぎると、見違えるように皮膚は正常化していきます。ご本人のみならず、サポートするご家族の方も、この点について、十分なご理解が必要です。当院の体質改善を、単に、「見た目上、良くなる一方向」の治療であろう浅い理解では、一時的に裏切られたような感想をもたれるかもしれません。深い理解とそれなりの覚悟・決意が必要となります。その分、寛解に至った場合のご本人とご家族の喜びは例えようもないものとなります。すでに、数十名の寛解者がでております。見事、アトピー性皮膚炎を卒業していかれました。
☆ 脱ステロイドと当院の体質改善療法の違い
一般的に「脱ステロイド」といわれている単なるステロイドを中止する方法と、当院のワクチンを使用した体質改善は、次の点が異なります。前者においては、ステロイドを多用している方が、ステロイドを突然やめると、アレルギー反応は強く再開します。また、乳頭腫ウイルス(HPV)に対する細胞性免疫も弱いですが、ある程度は再開すると考えられます。
一方、当院のワクチンを使用した体質改善では、皮膚において生ずるアレルギー反応は、弱くなります。乳頭腫ウイルスに対する細胞性免疫は強く生じます。顔や全身が、一時的に赤くなる現象は、両者とも似ています。しかし、当院のワクチンを使用した体質改善法においては、
(1)アレルギー反応は弱まり、
(2)乳頭腫ウイルス(HPV)は排除する、
という正しい方向に向かいます。
当院の体質改善が成功すると、結果として、ステロイドは、不要となります。
☆長期間罹患しておられる方ほど、大量のウイルス(乳頭腫ウイルス HPV)が皮膚に入っていることが多いため、その完全消退には、数か月以上かかるのが普通です。扁平疣贅に対して、ステロイド軟こうを使用すると増悪します(=増えます)。長期間にわたって、真面目にステロイド軟こうを使用してきた方の皮膚には、大量の乳頭腫ウイルス(HPV)が増殖しています。尋常性疣贅(通常のいぼ)の形をとらないので、本人も気づいていないことが少なくありません。HPVが皮膚に入っていても、通常は痛みを伴いません。細胞性免疫を高めると、HPVを病原体として認識して攻撃することによって、初めて炎症が生じるため、発赤や痛みを生じます。最終的にHPVの入った皮膚の細胞がすべて脱落すると、その皮膚反応は、自動的に停止します。新生した健常な皮膚に置き換わります。
体質改善の際のスキンケアの方法
高濃度電解次亜塩素酸水(当院の販売名 「Dr.ウオーター」)を、ふろ上がりに、患部にスプレーすると患部を清潔に保てます。あまりしみないので、苦痛がありません。アトピー性皮膚炎の方は、絶えず細菌感染を生じやすいのですが、Dr.ウオーターを用いたスキンケアは、苦痛がなく簡便できわめて有効です。ふろ上がりにDr.ウオーターをスプレーして、5分程度待って乾いたあと、保湿剤を使用します。スプレータイプのにDr.ウオーターのボトルは、大・小2種類あります。大の方は、とくに全身に対するスプレーに大変有効です。なお、皮膚反応が始まって、Dr.ウオーターをつけると少ししみるときは、ぬるま湯で3倍くらいに薄めてご使用下さい。
ワクチン接種による皮膚反応が始まる前、首や額などの厚くなった(=苔癬化した)皮膚に対しては、イオウ入りの保湿剤、サリチル酸ワセリン、ピーリング石鹸などを用います。イオウ入りの保湿剤は、院長が、レシピを考案しました。(近くの薬局にて、混合・調整していただいております。)
ワクチン接種により、皮膚反応が始まると、それ以降には、サリチル酸ワセリンを塗ると、とても痛みますので、使いません。
イオウ入りの保湿剤は、殺菌効果、ウイルス不活化効果、刹ダニ効果があるばかりでなく、長年の皮膚の炎症の結果、茶褐色になってしまった皮膚(=黒ずんだ皮膚)に対する美白効果があります。特有のにおいがあるのが欠点ですが、長所を利用することも必要です。
皮膚反応が始まった場合には、亜鉛華軟膏や白色ワセリンなどを混ぜた軟膏で、赤くなったり、じくじくした皮膚を密封するように塗布します(=湿潤療法)。皮膚が熱をもって乾きやすくなるため、1日のうち、数回塗布する必要がある場合もあります。しっかり、たっぷり塗布したほうが、皮膚の細胞が増殖しやすくなります。すなわち、皮膚の新生が促進されます。
ステロイド軟こうは、基本的には、できるだけ使いません。ワクチンによって誘発される細胞性免疫まで抑えてしまうためです。しかし、炎症が強すぎてつらい場合には、一時的に使用することもあります。
顔も皮膚反応が生じると早く健常化するのですが、見た目をどうしても気にされる方は、プロトピック軟膏の一時的使用も行っています。
年齢別の反応と注意する点
(1)0歳〜9歳
最も早く改善します。皮膚に入っているHPVの量が少ないためと考えられます。一時赤みが強くなることは時にはあり、幼稚園や小学校の担任の先生が心配して、ご両親に「大丈夫ですか?」と連絡があることもあります。この時期に体質改善を行うのが最も理想的です。平均治療期間は、6か月です。
(2)10歳〜19歳
改善は、比較的早い方です。受験を控えている場合には、体質改善を施行する時期を注意深く選ぶ必要があります。思春期であり、ご自身が見た目を大変気にされる時期です。平均治療期間は、9か月です。
(3)20歳〜29歳
皮膚に入っているHPVの量が総じて多くなり、それを排除する反応が強く生ずるため、苦痛が強くなります。結婚前の場合、見た目の改善が期待できますので、本治療法を受ける価値は大きいと考えられます(ただし、本治療法中の皮膚反応が強い時期は、一時的に見た目が悪くなることもあります)。女性では、妊娠を希望される時期には、体質改善はできませんので、ご相談の上、本治療法を受ける時期を選ぶ必要があります。平均治療期間は、1年〜1年半です。
(4)30歳以降
皮膚に入っているHPVの量が平均して最も多く、それを排除する反応が強く生ずるため、最も苦痛が強くなります。その時期は、一時的に、仕事を休む必要が生じることもあります。また、必要なワクチンの本数も多く、治療期間も最も長くなります(平均治療期間は、1年半〜2年です)。しかし、本治療法により、寛解に至った場合、長年にわたるアトピー性皮膚炎の苦痛・苦労から解放されますので、その分の喜びは大きいものとなります。
☆使用するワクチンは、すべて一般に感染症予防のため使用されているワクチンを利用しています。接種することによって、それぞれ特定の感染症を防ぐ効果がまず得られます。たとえば、7,700円(自費)のワクチンを使用する場合、感染症予防効果としての7,700円分の価値を、得ることができます(=当該の感染症が、身の周りに流行しても、接種したご本人だけは、感染しないですむ効果が得られます)。
それにプラスして、どの程度、アトピー性皮膚炎の状態の改善が得られるかについては、個人個人で異なります。年齢による反応の違いでは、平均して、年齢が低い方ほうが、年齢が高い方よりも改善効果が早く得られる傾向があります。軽症の方は、重症の方よりも早く改善します。扁平疣贅を生じる乳頭腫ウイルス量が大量に皮膚に入っている方は、そのような感染合併のない方よりも、改善するまでの時間が長くかかります。
☆ 体質改善により、年齢が低い方ほうが、年齢が高い方よりも改善効果が早く得られる理由の一つとして、用いられる多くのワクチンが、1用量であることに起因している可能性が考えられます。すなわち、1歳の幼児に用いられる用量と、成人に対する用量が同じである点が関与している可能性が考えらえれます。いくつかのワクチンは、年齢別の用量設定がなされていません。このため、当院で接種に用いる場合でも、能書を遵守して、投与することになります。また、年齢が高い方は、皮膚が苔癬化していることが多く、このようなに皮膚内に大量のウイルス(乳頭腫ウイルス)が入っていることが多いことも、改善に時間がかかることの大きな要因になっています。
体質改善により、健常の皮膚に置き換わっていく順序(特に成人アトピーの場合)
1. 手掌と顔は、最も早く反応が現れ、健常の皮膚に置き換わっていきます。
2. 顔は、鼻が最も早く健常の皮膚に置き換わります。鼻がまず白くなり、その白い面積が両側に広がっていきます。やがて両目より下側の部分がすべて白くなります。
3. 体幹、四肢は、皮膚反応の強い場所が移動することが多いです。
4. 首まわり、額は、健常の皮膚に置き換わるのが最も遅くなることが多いです。HPV量が多い部位であるためと考えられます。
☆ 皮膚反応が強くあらわれたときの対応1
細胞性免疫を高めることによって、皮膚反応が始まります。赤くなったり、じくじくしたり、むくんだり、汁がでてきたりしてきます。しかし、その火加減が強すぎると、アトピー性皮膚炎の方ご本人が、とても不安になることがあります。その場合は、火加減をその人にとって耐えられるよう、ちょうど良い火加減に調節する必要があります。それには、ステロイドを中心とした内服薬を用います。どの位の量、どの時期に、どの位の期間、用いるかについては、十分ノウハウを集積してきました。必ず、本人にとって耐えられるちょうどよい火加減にコントロールすることはできます。そのことを知っておかれるだけでも心理的には随分楽になります。なお、皮膚反応状が強いときには、通院間隔をつめる必要がありますので、予めご承知おき下さい。遠方の方は、予め、処方薬をお渡ししたり、当院このサイト内のお問合わせメール等で対処法をコーチしたりすることもあります(この場合、電話等再診料は、かかります)。
☆ 皮膚反応が強くあらわれたときの対応2
爪は、短く切っておく必要があります。皮膚をひっかいてしまって感染症を併発することを防ぐためです。新しく置き換わった皮膚は薄いので、掻きこわしてしまわないように注意する必要があります。じくじくしてきたら、亜鉛華軟膏や白色ワセリンなどを混合した軟膏で、皮膚を密封します。新生皮膚が皮膚下からあがってきやすい環境を整えるためです。この時期は、反応の生じている肌には、綿の肌着、軍足などがふれるようにします。綿であることが大切です。シーツには、落ちたフケのような落屑(らくせつ)が、たくさんつきます。脱皮そのものです。シーツが汚れやすくなるので、頻繁に新しいものに取り換えてください。
また、禁煙することは基本です。歯石は、必ず除去することも必要です。、定期的に3か月に1回は歯科受診して、歯石除去を行って下さい。
☆ 皮膚反応のあらわれる時期
9歳以下ですと、皮膚が赤くなったり、じくじくしたり、むくんだり、汁がでてきたりするような、皮膚反応が、現れないか、あっても軽く済むのが普通です。
10歳以上(特に成人アトピーの場合)で、皮膚にすでにHPVが大量に入っている場合には、皮膚反応が生じるようになります。回数は、通常、遅くとも4回目のワクチン接種以内には、反応が現れるようになります。出現時期については、皮膚反応がなかなか出現してこない方は、その方の細胞性免疫の「眠っている」程度が強いと考えられます。乳幼児期に、ご両親、特に母親がワクチン嫌いでワクチン接種に積極的ではなかった場合や、これまで感染症にあまりかからずに生活してきた、あるいは特定の病原体に対する反応性が弱いという遺伝的要因、などの関与が考えられます。逆に、1回目の接種から、皮膚反応が強く生ずる方は、細胞性免疫の「眠っている」程度が軽く、ワクチン接種により、すぐに活性化してきたと考えられます。1回目から、すぐに反応が始まるとビックリしますが、このような方の方が、皮膚の健常化への期間は短くなります。
ワクチン接種の後、皮膚の赤みが消えてきたり、あるいは、逆に赤くなったり、じくじくしたりするような皮膚の状態の変化が現れる時期は、平均的には1週間ほど経過してからです。翌日からすぐに反応が始まるような場合は、皮膚の健常化への期間は短いです。
一方、、皮膚の赤みが消えるだけの場合は、アレルギーによる皮膚の赤みが主体で、HPVの感染がほとんどないケースです。この場合は、ワクチン接種によって、アレルギー反応レベルが低下しますので、その程度に応じて皮膚の赤みは弱くなっていきます(そのまま消えるケースもあります)。HPVは、皮膚の中にいないので、それを排除する皮膚反応は、生じません。
皮膚反応の現れる時期・持続期間
通常の皮膚反応は、接種後、1週間後から生じ、1か月を経過するまで持続し、その後、自然に鎮静化してきます。鎮静化しているのを確認して、次のワクチンを接種します。
ワクチンを何回か接種していると、これまでにみられたことのないほど強い皮膚反応がみられる場合があります。数回のワクチン接種により、皮膚の中HPVに対する細胞性免疫の活性化レベルがある水準を超え、自動的にHPVが感染した皮膚細胞を敵と認識して排除するような攻撃することができるようになったと考えられます。この強い皮膚反応は、ときに、3か月〜6か月続くこともあります。その間、新たなワクチンを追加接種する必要はありません。本人が耐えられるようなレベルに免疫反応の強さをステロイドで調節することもあります(=火加減)。この強い皮膚反応は、皮膚から、HPVが完全消滅するまで続くことも少なくありません。
☆ 自費診療に関する費用については、アレルギー疾患の項に記したとおりです(安くはありませんが、ワクチンの費用としては、比較的低めの設定になっています)。アトピー性皮膚炎が悪化すると、集中力の低下およびそれに伴う事故のリスク、不眠、感染、出血、下着が汚れる、人目が気になる、などのさまざまなマイナス点が生じてしまいます。これらを総て金額に換算した場合と当院の体質改善費用を比較していただいて、受けてみるかどうかお決めになって下さい。
ワクチンを用いる方法(自費診療)は、全例ではありませんが、寛解することを見込むことができます。一方、増悪時にステロイド軟こうを使用する従来の方法(保険診療)は、アレルギー体質自体は変わりませんので、その状態は、年余にわたって続くことになります(=薬をつければよくなり、やめると悪くなる)。かかる医療費の総計は、圧倒的に前者の方が低くなります。
☆ 当院におけるアトピー性皮膚炎の診断と治療を、初回の受診時に、フルコースでお受けになる場合、3割負担の方ですと、保険分と自費分の合計で、2万円弱かかります。予めご承知おき下さい。もちろん、ご納得いただいた診断と治療を部分的に行うことも可能です。その場合にかかる費用はそれ以下となります。
☆ 体質改善施行期間中に、カポジ水痘様発疹症を生ずる頻度は、100名中で4名程度です。施行中に、水疱が多発したり、痛みが強くなった場合には、治療が必要ですので直ちにご来院ください。(なお、本治療を行っていないアトピー性皮膚炎の方でも、カポジ水痘様発疹症を生ずることはあります。本治療により、有意にその頻度が増加しているとはいえないレベルです。)なお、御両親、とくに母親が口唇ヘルペスをときどき発症される場合、接触による感染のため、お子様は、ヘルペス感染症に罹りやすくなります。
☆ 中等症・重症の方は、軽快・寛解するまでにある程度の時間がかかります。それなりの覚悟が必要です。わずか数回の治療で、はやばやと「効かない」と自己判断されてしまう人も、中にはおられます。逆に、比較的稀なケースでは、初回のワクチン接種後、すぐに強い皮膚反応を生じ、びっくりして、治療を自己中断される方もおられます。いずれも、もったいないことですが、治療の途中段階における中止も、ご本人の自由意思に基づきます。当院としては、治療継続の無理強いは致しません。
☆ 強い皮膚反応が現れた場合は、できれば平日にご来院下さい。土曜日は、大変混みますので、しっかりしたカウンセリングを行う時間がとりにくくなるためです。また、その症状・程度に応じて、内服薬や外用薬の投与を行います。なお、通常、体質改善のための通院は、月1回が標準です。しかし、強い皮膚反応が現れた場合には、週1〜2回の通院が必要になることもあります。
☆ 当院の体質改善を施行することが困難な方(=行わない方が良い方)は以下のケースにあてあはまる方です。
1. 喫煙をやめられない方
2. ご家族、配偶者など、御自分を支えてくれる方(キーパーソン)が、当院の体質改善を御理解されていない方、疑問を持たれている方
3. 精神的に不安定な方や抑うつ傾向の強い方: 強い皮膚反応が現れた場合、パニックになったり、悲観的な言動が多くなりがちになります。
4. 体質改善には1回あたり、5,000円〜8,800円のワクチンを使用します。これを「非常に高価」と感じられる方
5. 「ワクチン=悪」、「ワクチン=副作用」と強く思いこんでおられる方
6. ある程度落ち着いていた皮膚の状態から、一時的に、じくじくしたり、赤みが強くなったり、かゆみが強くなったりすること(一時的増悪)に耐えられない方
7. 大学病院や大病院志向の方 「お試し」のお気持ちでは、当院の体質改善療法をお受けになるのは無理です。
これらにあてはまる場合は、体質改善は行わず、従来のアトピー性皮膚炎の標準治療を続けられることをお勧めいたします。この意味において、誠に残念なことですが、体質改善によるアトピー性皮膚炎の治療は、現在のところ、万人向けとはいえません。
☆ 当院のアトピー性皮膚炎に対する体質改善療法におけるキーパーソンの重要性について
当院のアトピー性皮膚炎に対する体質改善療法により、見事に寛解に至った方々は、とても理解があるご家族、配偶者など、御自分を支えてくれる方(キーパーソン)をお持ちでした。一時的に、じくじくしたり、赤みが強くなったり、かゆみが強くなったりする(一時的増悪)と、本人が不安になることも少なくありません。そういうときに、本療法の特性を十分理解し、ご本人を励ましたり、心理的に支えたり、スキンケアや軟膏塗布を積極的にお手伝いされるキーパーソンの存在はとても大切です。賢母、賢夫人、賢父、賢夫と呼ぶにふさわしいキーパーソンが支えになっておられる場合を数多く経験します。対照的に、皮膚が赤くなったり、じくじくしたりして、ご本人が不安になると、「だから私は反対といったのよ」と突き放されるご家族の方も中にはいらっしゃいます。このような場合には、本治療法の開始・継続は、困難なものとなります。これは、テニス、卓球、バドミントンなどのダブルス競技に例えてみるとわかりやすいと思います。ダブルスの場合は、ペアの呼吸、励ましあいなどが一致するチームは強いです。一方、パートナーの一方が、まるで戦うつもりがない場合は、簡単にゲームに負けてしまいます。
治療を受けられるご本人のみならず、支えとなって下さるキーパーソンの方にも理解しやすいように、本療法の注意点などをこのページでは細かく記載するようにしております。新しい情報も盛り込むようにしています。本治療開始前には、必ず、熟読して内容を把握されることを、ことをすべての治療を受けられる方には、ご説明しております。不安な点、疑問な点がおありでしたら、いつでもご覧になってください。キーパーソンの方に、しっかり支えてもらって、症状の軽快・寛解を目指していただければ幸いです。本治療は、山登りに例えてもよいかもしれません。苦しい思いをして、頂上にいたった方々だけが、達成感と、見事な景色を楽しむことができます。良き理解者であるパートナーがともに登ってくれれば、本人にとってもこれほど心強いことはありません。
☆ 当院のアトピー性皮膚炎に対する体質改善療法を登山に例えると
登る人は、アトピー性皮膚炎の方ご本人と、キーパーソンの方です。院長は、山岳ガイドとして、一緒に登ります。乳幼児の方は、高尾山ぐらいの山登りです。しかし、長期間、患っている人ほど、目指す標高は高い山になります。例えば、富士山くらいとお思い下さい。登山は、十分な準備と、体力、強い意志の力が必要です。体質改善療法は、体力は、普通でよいですが、十分な理解と、やりぬこうという強い意志の力は必要です。また、キーパーソンの支え、励ましもとても重要です。続々と、みんなが頂上目指して登っていく中、登山口から、わずか100m登ったところで、ガイドの助言や制止もきかず、「苦しいからやめる」と撤退される方も中にはいらっしゃいます。富士山には、毎夏、大勢の方が登られていますが、全員が、頂上にたどりつけているわけではありません。ガイドは、その時、その時に注意すべき点を示しながら、ときには、ガスがでてきて、行く先が見えなくなる中でも、正しい頂上への道筋を示していきます。アトピー性皮膚炎の卒業という頂上に上手に導くことができれば、ガイドとして、これほどうれしいことはありません。なお、ガイドは、山頂を自ら目指す方々の手助けが仕事です。自ら登ろうとしない方を頂上に担ぎあげる仕事は行っておりません。
アトピー性皮膚炎卒業という頂上に到達された方々は、ご本人とキーパーソンの方とも、礼儀正しく感謝の意を表されることが多いです。丁重な御礼のメールを頂戴することもあります。ガイド冥利につきる瞬間です。
一方、登山口から、わずか100m登ったところで撤退された方からは、「富士山ほど苦しい山はない。」「富士山は、魔の山だ」「ガイドは早口で、何言っているからわからない」というような散々なご評価を頂戴することも、残念ですが、稀にはあります。その際、登頂不成功に関する御自分の要因を分析する発言はありません。
なお、ステロイド外用薬を中心としたアトピー性皮膚炎の標準的治療は、ご本人の苦痛・苦労は基本的にはありませんので、登山には例えられません。
細胞性免疫レベルの指標
免疫系を調節するヘルパーT細胞には、細胞性免疫に関連するTh1細胞と、アレルギーなどの液性免疫に関与するTh2細胞があります。(その他、Th17細胞などもあります)。
アトピー性皮膚炎の病変部位の表皮角化細胞により産生されたTARC(ケモカインの一つ)は、Th2細胞を局所に遊走させ、Th2優位の免疫応答を生じさせます。このため、TARCは、アトピー性皮膚炎の重症レベルを判定する再現性に良い指標として用いられています。(小児:760pg/ml以上が中等症以上、成人:700pg/ml以上が中等症以上)。Th2細胞活性化レベルに関連する指標として臨床応用されており、実際の臨床の現場でも用いられております。
一方、アトピー性皮膚炎の方の細胞性免疫レベル(Th1細胞活性レベル)がどのくらい眠っているか、については、あまり良い指標がありません。古典的なツベルクリン反応は、細胞性免疫の指標の一つであり、アトピー性皮膚炎の方では、その反応が48時間後、直径5mmにも満たないことがしばしば認められます(=細胞性免疫:熟睡レベル)。Th1細胞からは、IL-2,IFN-γ、TNF-αなどが産生されます。Th1/Th2(Th2に比し、Th1がどのくらい多いか)という指標もあります。これらは、研究レベルで用いられる指標であっても、日常臨床において用いられる指標とは、今のところ、なっておりません。従って、ワクチン接種の前に、その方の細胞性免疫レベルを数値化して十分に把握しておくということは、日常臨床レベルでは、ツベルクリン反応以外には、現在のところ、あまりよい指標がないのが現状です。(なお、結核菌に対するT細胞の反応性は、クオンティフェロンという方法で測定することもできます)。従って、同一量のワクチン接種を行っても、その反応性は、個人差が大きいのが普通です。接種後の皮膚反応レベルが過大である場合には、ステロイドを使用して、「火加減」を調節するのが実際的といえます。
アトピー性皮膚炎の方は、Th2細胞は活性化し、Th1細胞は眠っています。このうち、Th1細胞が眠っていることの方が、より上流に位置すると思われます。従って、Th1細胞を上手に活性化することは、この病気の本質的治療に直結すると考えられます。
ワクチン接種後の、細胞性免疫レベルの改善の持続期間は、ワクチンの効果が、一般的には、10年位持続すると言われていることから、その位の期間と考えられます。
ワクチン接種により皮膚反応が生ずることがある理由(推論)
細胞性免疫を高めるワクチンを接種後に、主として、成人アトピーでHPVの皮膚感染がある方に、皮膚が赤くなる皮膚反応が生ずることがある機序を推察してみます。
ワクチン接種により、HPV感染部位周囲に、存在はしているが働いていないT細胞に活性化シグナルが伝わるため、と考えるのが最も妥当であろうと思われます。赤くなった皮膚を詳細に観察すると、苔癬化してHPVが入っている部位だけで、健常な皮膚は、まったく変化がないためです。これは、非特異的な免疫反応の活性化では、説明しにくく、HPV感染細胞に対する特異的T細胞が活性化して、細胞傷害を生じている証拠と思われます。膀胱癌などのがんに対して、BCGを投与したり、細胞性免疫を高めるピシバニールを投与したりすることにより、がん細胞が傷害されるのも、がん細胞を取り囲んでいて、それらを特異的に認識するT細胞受容体を持っていても働いてないT細胞に活性化シグナルが入ると考えるのが最も妥当性があると考えられます。なお、膀胱がんには、HPVが関与するという報告もあります。がん特異的抗原よりも,HPV抗原に対する攻撃の方が、より比重が大きい可能性もあると考えられます。(粘膜に感染するHPVの型 HPV6,11,16,18,31,33,35,39,41,45,51,52,56,58,59,68,70です)。皮膚科領域においても、尋常性疣贅(HPV感染の一つの形)に対して、ピシバニールの投与が、奏功したという論文もあります。なお、粘膜に感染したHPVは、様々な部位で、がん化に関与します(子宮頚癌、膀胱がん、口腔粘膜がん、上咽頭がん、食道がん、肛門がんなど)。細胞性免疫を高めるワクチンをタイミングよく接種することは、それらを効率よく排除することに寄与する可能性があると思われます(今のところ、実用化されているのは、膀胱粘膜がんに対するBCG位ですが、潜在的治療ポテンシャルは高いと考えられます。皮膚反応の観察からの推論です)
この現象を、わかりやすく例えると、日本にAという国から不法侵入者が勝手に住み着いているとします。自衛隊は、それらを不法侵入者と認識しているけれでも、攻撃命令がでていないため、普段は、監視活動にとどまっています。ここに、B国から、別の不法侵入者が入ってきました。首相から、防衛大臣を通じて攻撃命令がでて、B国からの不法侵入者への攻撃がはじまりました。首相から、防衛大臣への攻撃シグナルは、同時に、A国からの不法侵入者に対しても、攻撃命令として伝わり、攻撃が開始されました。このA国からの不法侵入者に対する攻撃が、皮膚反応として、認められている可能性があると推論します。なお、B国からの不法侵入者がワクチンである場合は、大変弱い相手であり、倒しやすいといえます。そのため、B国からの不法侵入者に対する戦い自体は観察するのも困難であることが普通です(=接種部位がひどくはれ上がったりすることが通常ありません)。
☆ 最近、身近なアトピー性皮膚炎の方が、当院の治療により、軽快・寛解したのを目の当たりにされて、ご来院されるケースがかなり増えてきております。使命感を持って治療に当たらせて頂いております。また、ご自身が、アトピー性皮膚炎を卒業されたあと、ファミリーでそろって仲良く来院されるケースも増えてきました。親子で、同時に取り組んでいる方々も増えております。その場合、早く治っていくのは、いつも小さいお子様の方です。また、ご近所にご紹介していただいて、特定の狭い地域のアトピー性皮膚炎の方々が、こぞってご来院されているケースもあります。
☆ ドーピング検査の対象となっている一流のアスリートの方で、アトピー性皮膚炎をお持ちの方は、当院の体質改善をお勧めします。ワクチンは、ドーピング検査の対象外です。また、アトピー性皮膚炎の軽快・寛解が期待できるためです。
遠方の方は、2カ月に1回程度の通院も可能です。
さいたま新都心駅は、大宮駅から1駅です。新幹線の利用も可能です。
都内の方は、赤羽→さいたま新都心は、JR京浜東北線でわずか20分です。心理的な距離の遠さ(=都心から遠ざかる方向に通院すること)を解消されれば、当クリニックは、十分通院可能な位置にあります。
埼玉、東京のみならず、山形、栃木、群馬、茨城、千葉、神奈川からもご来院なさっておられます。
体質改善療法により寛解に至られた方々のご職業・背景
医師、看護師などの医療関係者およびその子弟、経営者、一流企業社員、国家公務員(中央省庁を含む)および地方公務員(警察官を含む)、トップアスリート(国体クラス)など、優れた資質を持っておられる方々が実に多いです。その方々に共通しているのは、決してその点を誇らず、とても謙虚に、真摯に体質改善療法に取り組まれる姿勢です。強固な意志の力をお持ちの方々です。家族関係も良好です。多くの小・中・高・大学生および大学院生もチャレンジされています。
大学病院や大病院に通っておられた既往のある方で、当院にご来院頂いて、体質改善療法によ寛解に至った方もいらっしゃいます。アトピー性皮膚炎の現時点での標準治療は、皮膚の炎症を上手の鎮静化させることはできますが、寛解させる(=一般に「治った」といわれる状態にまでもっていく)治療法ではありません。
☆ 体質改善の方法は、これまで数回バージョンアップしてきました。どのワクチンを、どのタイミングで、何回使用するとより効果的であるかという戦略がより詳細になってきました。治療抵抗性(=難治)の方の皮膚や免疫の状態を解析して、次の治療戦略に反映するように絶えず工夫・改良を重ねています。
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| 待合室の奥のカウンターです。 |
